『140字小説作品集』掲載作
140-4
海を見たいとドラゴンが言うので付き添うことにした。ドラゴンは路線に明るくないし、緊張すると火を吐いてしまうのだ。電車が動きだすと、背中の羽が小さくぱたぱた動いた。海まで飛んでは行けないのか尋ねると、ドラゴンは顔を赤くして何か言おうとした。おろしたての帽子のつばがちりちりと焦げた。
140-8
夢を見ています。夢の中で私は、父母に愛され、友と睦み、語らい、ときには争い、学を修め、職に就き、守るべき家族を得て、平凡ながらも私なりの波乱に満ちた人生に邁進しているのでした。さて、これが夢であるならば、夢から覚めた場所には何があるというのか。夢を見ています。光を、待っています。